日本一や国際大会の経験生かし魅力も発信 スケボー日本コーチの才哲治さん<五輪支える熱情>4


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沖縄スケートボード界を先頭で引っ張る才哲治さん(村山望撮影)

 東京五輪で初採用されたスケートボード。世界トップ級がそろう日本勢をコーチとして支えるのは、沖縄スケーターの第一人者として日本一の経験もある才哲治(さい・てつはる)さん(42)=読谷村=だ。ストリート文化発祥の競技で、コーチが技術指導をする習慣は少ないが、国際大会での経験を生かして「海外から帰国した選手のケアや、大会ルールの情報収集をしている」と選手が万全の状態で本番に臨める環境づくりに腐心する。

 奄美大島出身。3歳で沖縄に移り住んだ。全日本アマチュア選手権に優勝した翌年の2004年に県内で初めて日本協会公認のプロスケーターになった。プロツアーで3度の年間王者に輝いたほか、県内で後進の育成や大会運営にも尽力する。実績が評価され、五輪コーチに抜てきされた。

 競技者やファン以外で大会を目にする機会は少ないが、才さんは「見れば面白さは伝わる」と断言する。車輪が付いた板に乗って滑りながら、板と一緒に跳んだり回ったりして多彩なトリック(技)の難易度、スピード、独創性を競う。

 「選手たちは『かっこよさ』を追求している。それぞれの動きの違いを感じてほしい」と魅力が広く伝わることに期待している。

 種目は街中の手すりや階段などを再現したコースを走る「ストリート」、くぼ地状のコースを縦横無尽に走る「パーク」の2種類。日本選手団は10人中8人が10代と若いが、ストリート男子の堀米雄斗やパーク女子の岡本碧優など世界ランキングでトップ級の選手がひしめき、メダルラッシュが期待される。才さんも「技術的にもメンタル的にもすごく完成している選手ばかり」と評価は高い。

 才さんは主にパークのコーチを担い、ストリートにも帯同する予定。当日は「時間の割り振りや技の修正などを選手と相談する。パークに入ったら選手は一人の世界なので、集中して楽しんでほしい。あとは滑り終わった選手を笑顔で迎えるだけです」と穏やかに話した。

(長嶺真輝)