【東】旧暦の5月15日である6月24日、東村立有銘小学校(平良智校長)の児童は、米の豊作を祈願する「5月ウマチー」を再現した。児童らは校内にある拝所と井戸に稲や餅などの供え物をして、かつて「米どころ」として知られた有銘区の歴史を体感した。
有銘区は戦前・戦後にかけて稲作が盛んな地域だったが、40年ほど前に減反政策や土地改良などで田んぼが減少。次第にウマチーは行われなくなった。当時を知る仲嶺眞文さん(59)は「辺り一面が田んぼ。フナやテナガエビでいっぱいだった」と懐かしそうに語る。同区を撮影した1953年ごろの写真では、わらぶき屋根の家屋を取り囲むように水田が広がってる様子が確認できる。
同校では、昨年から総合学習の時間に稲作が盛んだった区の歴史について学ぶ機会があり、児童らの提案で米づくりに挑戦することになった。地域住民らの協力で今年1月、校内の中庭に田んぼが完成。3月には堆肥まきや田植えを体験した。その過程で児童らはウマチーについて知り、具志堅成弘区長(72)らの協力を得て再現した。
供え物の稲は児童らが育てたもの。「ウチャヌク」は呼ばれる餅は家庭科の授業で地域住民と一緒に作った。根神などをまつった仮設拝所や「チンガー」と呼ばれる井戸に供え手を合わせた。
6年生の山城翠りんさん(11)は「ウマチーは初めて。昔こんな行事をやってたとは知らなくて驚いた」と目を輝かせた。平良校長は「子どもたちが地域の伝統文化を知り身近に感じてくれるとうれしい。いろんなアイデアもあるので、今後も地域の歴史を活用した取り組みをしたい」と話した。
来年は3年に一度開催される伝統行事「有銘大綱引き」が予定されている。児童らは収穫した米のわらを使った綱作りも挑戦する予定。