中部商エース米須「やりきった」 因縁の相手、壁厚く<高校野球2021>


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 高校野球の第103回全国選手権沖縄大会最終日は18日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で決勝を行い、沖縄尚学が5―2で中部商に勝利した。沖尚は2年ぶり10度目の優勝を飾った。代表校決定は全国一番乗り。沖尚は夏の甲子園へは2年ぶり9度目の出場となる。試合は中部商が先制点を挙げ、序盤に流れを引き寄せたが、沖尚は四、五回に得点圏に進めた好機を逃さず追い付き、勝ち越しを決めた。沖尚は失点した三回以降は被安打2で追加点を許さなかった。全国選手権は8月9日に兵庫県・阪神甲子園球場で開幕。期間は17日間。全国47都道府県から49校が出場する。

中部商業―沖縄尚学 我慢の投球で完投した中部商業の米須武瑠=18日、沖縄セルラースタジアム那覇(又吉康秀撮影)

 三度目の正直と挑んだ沖尚の壁は厚かった。三回までに2点を先行し、流れをつかんだ中部商だったが、中盤にリードを許してしまう。攻撃では四回以降、救援の當山渚を攻略できなかった。九回までに3安打と勝機をつくれず、17年ぶりの夏の甲子園出場はかなわなかった。

 1年生大会で九回サヨナラ負け、今年の春季大会では延長十一回の末に敗北を喫した因縁の相手。雪辱を期し、エース米須武瑠は「九回まで投げきる」と闘志を前面に腕を振った。

 課題の初回は死球で走者を背負っても三振で切り抜けた。2点をもらい波に乗りかけたが、得意のスライダーが徐々に見極められる。思うような投球ができず力みから四死球も重なり、勝ち越されてしまった。

 主将の石川倫が準決勝の最終打席で右手首を負傷し、スタメンから外れる予期せぬ事態も。それでも石川はベンチから声を張り上げ、伝令では「楽しんでいこう」とナインを励まし続けた。

 期待に応えようと強い覚悟で臨んだ米須だったが「チームを勝たせることができなかった」と悔やむ。ただ「やることはやりきった。みんなと楽しくプレーできた」と最後は晴れやかだった。
 (謝花史哲)