チームを見る目を補う仕事 女子バスケAC・知花武彦さん<五輪支える熱情>7


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オンラインで取材に応じ、リラックスした表情で語る知花武彦さん=16日

 3大会ぶりに出場したリオ五輪でベスト8に入り、東京五輪でメダル獲得を狙うバスケットボール女子日本代表。チーム内最高の193センチでエースの渡嘉敷来夢がけがで離脱したが、堅守速攻を武器に本番前の国際強化試合5試合を全勝で終えた。Wリーグなどで長らく指導者経験を積み上げてきた知花武彦さん(45)=トヨタ紡織ヘッドコーチ(HC)=が、アシスタントコーチ(AC)としてチームを支える。

 与勝中から強豪・福岡大大濠高に進学し、全国制覇を経験。明治大を経て、トヨタ自動車ではスーパーリーグ(のちのJBL)優勝にも貢献した。引退後の2006年に女子バスケのトヨタで指導者キャリアを開始。代表チームでは、トム・ホーバスHCが現役時代のチームメートだったこともあり、17年からACとして参謀役を担う。

 1992年のバルセロナ五輪で、マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソンらNBAのスーパースターが名を連ね、世界中を魅了した米国の「ドリームチーム」は今も記憶に残る。「その舞台に参加できるのはすごい感慨深いものがある」と頬を緩める。

 チームづくりで「一人の考え方でやると漏れが出てくる。HC、AC、情報分析の専門家がさまざまな視点から見ることが大事」と考える知花さん。「HCのやりたいバスケをよく理解し、チームを見る目を補っていくのが仕事」と戦術に厚みを加える。

 女子代表の平均身長は175・6センチで、出場12カ国の中でも小柄だ。渡嘉敷の離脱で戦術の変更を余儀なくされるとの見方もあったが、知花さんは「根本的なところは変わっていない」と語る。「スピードや連動性が日本の強み。十分世界に通用する。金メダルしか見ていない」と言い切る。

 女子代表では、161センチのPGで県勢の安間志織(トヨタ)が五輪最終候補まで残った。自身も同じPGだった知花さんは「小さくても気持ちさえあれば何でもできる、絶対負けないと思っていた。それが沖縄で生まれ育ったアイデンティティーだった」と現役時代を振り返る。その上で「やる気さえあれば、沖縄からもどんどんいい選手が出てくると思う」と後進にも期待を寄せている。

(長嶺真輝)