中城バイオマス発電所が運転開始 新電力が自前施設、電力販売競争が本格化


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20日から営業運転を開始した中城バイオマス発電所(沖縄うるまニューエナジー提供)

 沖縄県うるま市の中城湾港新港地区工業団地内で建設が進められていた「中城バイオマス発電所」が20日、営業運転を開始した。新電力大手のイーレックス(東京)や沖縄ガスなど県内外の11社が出資する沖縄うるまニューエナジーが発電所の運営を担い、発電した電力は沖縄ガスニューパワーが販売する。新電力が自前の大規模発電施設を備えることで、県内の電力販売の競争が本格化する。

 最大出力4万9千キロワット、年間発電量は一般家庭約11万世帯分に相当する約3億5千万キロワット時となる。2021年度の県内の想定需要電力量(送電端)である79億9千万キロワット時の4・4%に相当する。

 成長の過程で二酸化炭素(CO2)を吸収する木質燃料のパームヤシ殻(PKS)や木質ペレットを発電に使うことで、全体のCO2排出量を差し引きゼロとする「カーボンニュートラル」となる。年間のCO2削減効果は推定約27万トンで、一般家庭約10万世帯分になるという。

 沖縄うるまニューエナジー社長を兼務するイーレックスの本名均社長は「卸電力取引市場のない沖縄では、電力自由化には自前の電源を持つことが第一に重要と考え、発電所の建設を進めてきた」と話し、「大きく供給力に貢献する電源を確保できたことで、より競争原理に基づいた価格で電力を提供できる。実質100%CO2フリーの電力を提供することで、脱炭素化の推進にも貢献できる」とコメントした。

 離島県のため県外の電力系統とつながっていない沖縄は、電力自由化は途上にある。4月の全国の新電力シェア19・9%に対し、沖縄は8・7%にとどまる。

 電力自由化に詳しい県中小企業家同友会環境委員会の玉栄章宏委員長は、中城バイオマス発電所の運転開始に「CO2排出量削減による地球温暖化防止、大規模な電源確保による電力自由化促進、安い電力を企業や公共施設に提供することによる地域経済への貢献の3点が期待される」と話した。