新型コロナウイルスに関する沖縄県の疫学統計・解析委員会は21日までに、先週(12~18日)の感染状況の分析を発表した。在沖米軍基地関係者の感染者が7月に入って急増している現状について「在沖米軍で(インド由来の変異ウイルス)デルタ株が流行しているものと推察される」との見解を示した。一方、米軍は県に対して変異株検査を行わない方針を伝えており、基地内における変異株流行の実態は不明のままだ。
県によると、保健所が陽性者を追跡調査する際、濃厚接触者が米軍関係者となると、個人を特定できないため、「友人知人」などの項目に分類しているという。
そのため県が毎日発表している新型コロナ感染者の推定感染経路の項目にある「米軍関係」は、昨年7月16日に1人が確認されて以降、1年以上も「1人」のままで、実態がつかめていない。県の糸数公医療技監は「米軍からの確認がとれず、(推定感染経路は)調査中になっている」と説明した。
米軍基地で7月1~21日、計121人の感染が確認された。同委員会は基地との関連について、米兵と接触歴のある事例でデルタ株が多いため、米兵や軍属が接種したモデルナ社製ワクチンの効果が「減衰している可能性がある」とした。
21日の県専門家会議では、県衛生環境研究所の国吉秀樹所長が変異ウイルスのゲノム解析について報告し、基地関連のデルタ株陽性者は2~3人で「多数派ではない」と述べていた。
米軍は2020年12月以降、基地内でワクチン接種を開始し「約3万9千人が接種した」と本紙に答えている。在沖米軍の軍人・軍属、家族数の総数は公表されていない。また7月4日の独立記念日以降、陽性者が増えていることについて「独立記念日の集まりと関連する事例はなかった」としている。