「ウィズコロナ路線」を選択したのはなぜ?議論の過程、県民には見えず


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 沖縄県の新型コロナウイルス感染症対策について、調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)が発表したリポートは、一定の感染を容認して自粛と規制緩和を繰り返す「ウィズコロナ路線」を県が選択していることについて「県民に案さえ公開されないまま、知事が誤りの可能性がある資料に基づいて判断した」と指摘した。専門家会議で示された資料の不備も指摘している。

 IPPによると、2020年5月の専門家会議では、(1)封じ込め路線(2)コントロール路線(3)拡大許容路線―の3案が提示された。ウィズコロナの(2)を選択したとみられるが、具体的な議論や結論は議事概要から読み取れない。

 群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は「コントロール路線を県民が理解して選択する場面はなかった」と述べた。新規感染者0が続いた20年5、6月は封じ込めの「最大の機会」だったという。7月に新規陽性が確認された後、感染が広がって第2波が訪れた。

 8月27日の専門家会議では今後の対策として「市中感染ゼロを目指す」と「持続流行を容認する」の2案が提示された。この会議資料に対しても徳田医師は「ウィズコロナで予測された県民活動の項目には、何度も県民に自粛を要請することになることが記載されておらず、予測内容は不十分だった」と指摘している。

 専門家会議での議論内容が県民に伝えられないまま、9月4日の対策本部会議では、専門家会議で示された二択のうち、県として「持続流行を容認」を選択することが確認された。だが、専門家会議の議論がどのように県の対策本部会議に反映され、知事の決定に至ったかという過程は外部から知り得ない。