脳内フル回転、相手国を徹底分析 女子3人制バスケサポートコーチ・末広朋也さん<五輪支える熱情>9


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本番を前に、オンライン取材で穏やかな表情を見せる末広朋也さん=19日

 スポーツにとって情報は結果を大きく左右する要素だ。コロナ禍で国際大会が著しく減少する中、その価値は一層高まっている。3人制バスケットボール女子代表で相手国の情報分析を担当する、末広朋也サポートコーチ(34)=名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15ヘッドコーチ=は「最終的に戦い方を決めるのはヘッドコーチ。その決定材料を集めるのが自分の役割」とチーム戦略の根幹を支える。

 宮古島市出身。東海大在学時から民間のコーチ育成コースで指導法を学び、卒業後は日本協会で分析スタッフとしてキャリアを積んだ。リオ五輪では世界最終予選で出場権を逃した5人制男子に帯同し、悔しい思いをしただけに「力が及ばなかった経験があるので、また代表に呼んでもらえてうれしい。この環境にいられるのは本当に幸せなこと」としみじみと語る。

 東京五輪で初めて採用された3人制バスケは1試合10分で、5人制のコートの片側半分を使う。攻守が目まぐるしく入れ替わるスピーディーな展開が魅力だ。女子日本代表は世界基準で小柄ながら、高いシュート力とスピードを武器に5月の予選を勝ち抜き、自力で出場枠を獲得した。

 24日の初戦は目前に迫る。選手たちは「厳しい戦いを勝ち抜き、スイッチが入ってる」と既に本番モードだという。自身の役割はいかに勝つ確率を上げるか。「相手のやりたいことや武器を調べて、それを出させない状態をどうつくるかを考えている」と脳内をフル回転させている。

 コロナ禍で規制が強まり、サポートコーチは大会会場に帯同できなくなった。ただ、3人制バスケはもともと試合中に監督が指示を出せないルールのため、選手の自立性が試される競技でもある。末広さんは「何よりも準備が大事」と万全の状態で選手を送り出す決意だ。

 高校までを過ごした地元宮古島の、バスケの発展にも思いをはせる。「身長が低くても活躍できるプレーがたくさんある。五輪を見られる機会を楽しんで、学んでほしい」と呼び掛けた。

(長嶺真輝)