発達障がいがある双子の子育てを描く本紙連載漫画「ひなとかのんのおひさま日記」の作者・森山和泉さんと、福祉のプロたちが一般参加者と子育ての泣き笑いを語り合う「凸凹ゆんたくサロン」(凸凹ゆんたくサロン、琉球新報社共催)が6月19日、オンラインで開かれた。テーマは「お父さん」。参加者の男性も加わり、語られる機会があまりない父親の「本音」を交わした。
冒頭、参加者の女性たちからは「夫には思うことがいろいろある」「女性同士はパートナーについてよく話すが、男性陣は相手をどう考えているのかな」といった声が上がった。
若者支援に関わるNPO「はじめました。」の坂本将吏さんは「格好をつけたい気持ちがあり、自慢も不満も男同士では話さないかな」
放課後等デイサービスIMUA(沖縄市)の山城健児さんは「仕事が楽しくなる時期と、子育ての時期が重なり『外のことの前にうちのことをやりなさい』とよく言われた」と苦笑した。参加者の男性は体調を崩して休職した時、夜中まで乳児の世話に追われる妻を見て「育児の大変さが身に染みた。今は積極的に年休を取って子どもの行事にも行く」と体験を語った。
■手放すことも大切
「とてもすてきな話だが、実際に見ないと分からないのか。うちの夫も言葉で言うだけであまり助けてくれなかった」という女性参加者に、坂本さんは「同じ方向を向いていると思っていたが、実際には妻がやってほしいことと自分のやっていることのずれがよく起きていた」。坂本さんの妻も登場し「言っても無駄だと思うこともあった」と打ち明けつつ「全部自分でやらないと、と背負い込まず、できない・やらないことを決めると夫がしてくれた」と手放す大切さを語った。
森山さんが「『子どもの幸せ』という大きな目標を共有できていれば意見の食い違いや夫婦げんかも怖くない。2人で『子どもの幸せってさ』と語り合う時間が持てればずいぶん違うだろう」と言うと、男性陣を含め参加者から「うちあたいする(心当たりがある)」との声が上がった。
■立場違う人と対話
父親の参加を狙って山城さんはデイサービスの活動に竹馬作りなどを盛り込んだ。「取り組みやすい活動があると参加してくれる。これを機に職員との対話や送迎に来る父親の数も増えた」。坂本さんは「自分たちは子育てに参画しない父親を見て育った世代。自分の役割が明確に分かると入りやすい」と提案した。
社会の影響について山城さんは「父親はまず家計を支えるという価値観が、家庭内での細かい気付きを鈍らせたと今になって分かる」と振り返る。
坂本さんは「『男/父親たるもの』と社会で作られた価値観に、いつのまにか自分も立っている。でも男同士はそんな話をしないので気付かない。パートナーと話すと、それが自分の価値観なのか社会でつくられた価値観なのか気付けそうだ」と異なる立場の人との対話の大切さを指摘した。
森山さんは「子育ては自分で自分を育てる作業だとつくづく感じる。理想通りいかなくても、社会が決めた枠にとらわれなくてもいい」と話し、参加者も「肩の力が抜けた」「家族もそれぞれ個性的でいいんだ」感想を語った。
次回は「夏休み」をテーマに31日午後7時半から開く。申し込みは30日までにQRコードから。問い合わせはメールdekobokoyuntaku@gmail.com
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次回は7月31日午後7時半開始