名護市辺野古の新基地建設に向けた沖縄防衛局の設計変更申請について、県は、埋め立て予定海域の地盤の軟弱さや環境保全の面で調査や分析が不十分であることを理由に、不承認とする公算が大きい。設計変更で工期が長くなり、普天間飛行場の危険性を早期に除去するという当初の埋め立て理由に矛盾していることも盛り込む見通しだ。最終判断の時期は8月中旬以降で、県は慎重に検討している。
防衛局は2020年4月に設計変更の承認を申請。埋め立て予定海域に広がる軟弱地盤を改良する工事を追加する内容だ。
審査を続ける県はこれまで防衛局に質問を4回出し、回答を得た。申請内容や防衛局の回答、問題点などを県海岸防災課がとりまとめている。
今後、県幹部が弁護団を交えて協議し、玉城デニー知事が決める。
軟弱地盤が最も深刻で、水深90メートルまで達している地点を巡っては、政府は調査しているにもかかわらず、「委託業者が自主的にした簡易的な調査」として、この結果を設計条件に反映させていない。離れた3地点の調査結果から類推して安定性を計算している。県は十分な調査が必要だと指摘する見込みだ。
環境保全は海水での濁りなどを問題とするとみられる。設計変更は護岸を閉め切る前に土砂を入れる工法を取り入れており、濁りが拡散する懸念がある。
国の天然記念物であり、絶滅危惧種にも指定されているジュゴンの生息への影響を十分調査していないことなども指摘する可能性が高い。
防衛局は当初、埋め立て承認を得た際は埋め立てに要する期間を5年としていた。新たな設計では、飛行場整備までを9年3カ月としている。
最終的に米軍が使用するまでには早くとも12年かかる計画だ。
普天間飛行場の危険性を一日も早く取り除く目的にはそぐわず、玉城知事は「早期の危険性除去につながらない」と批判してきた。