「薬物が心の支えになってしまった」依存経験者が伝えたい大切なこと 児童に講演


社会
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薬物の危険性や依存性について高原小学校の6年生に語る薬物乱用の経験がある佐藤和哉さん=16日、沖縄市の同校

 薬物乱用の経験を持つ、薬物依存回復施設「沖縄ダルク」の佐藤和哉施設長が16日、沖縄市立高原小で、薬物依存の危険性と身近な人が薬物に手を出さないことを考えさせる授業を開いた。佐藤さんは「今は僕にも話を聞いてくれる人たちがいる。心の隙間ができないよう声を掛けて」と周囲とのつながりを持つ大切さを語った。

 佐藤さんはシンナー、大麻、覚醒剤を乱用して中毒になった。その過去を振り返り「悩みを打ち明けられる友人や家族がおらず、心の隙間に薬物が入り込んだ」と話した。「やめたくて覚醒剤をトイレに流した。それなのに1時間後、また売人に電話をして薬を買った」と依存性の強さを強調した。

 佐藤さんは、薬物依存者に「使ったら駄目だ」と言い続けるだけでは効果がないと訴えた。「依存症の人にとって、薬物は『松葉づえ』のようなものだ。人に頼れず、つらいことから逃げながらも何とか生きようとして、薬物が心の支えになってしまった」と語った。

 男児は薬物の代わりに「友情」が心の支えになると答えた。佐藤さんは「今は僕にも話を聞いてくれる人たちがいる。みんなも、周りに暗い顔をした友だちがいたら、心の隙間ができないよう声を掛けてほしい」と答えた。

 授業を受けた山元勘大朗さん(12)は「薬物は恐ろしくて怖い」と話した。宮里綾理さん(12)は「今後は、周りに元気のない友だちがいたら声を掛ける。自分だけでなく、みんなで薬物を遠ざけたい」と語った。