台風6号で沖縄の農作物被害4.3億円 夏野菜不足の恐れ、マンゴー県外出荷できず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「連日の大雨でヘチマの受粉ができない」と嘆く男性=26日、八重瀬町富盛

 20~25日にわたって沖縄地方に激しい風雨をもたらした台風6号について、沖縄県は26日の災害対策本部会議で、同日現在の農作物の被害総額が約4億3千万円に上ると発表した。収穫最盛期を迎えているオクラやヘチマの夏野菜に被害が出ており、今後の供給不足となる可能性がある。中元用の贈答品として高値で取引される完熟マンゴーは数日にわたる航空便の欠航で県外に出荷や配送ができず、県内で値引き販売する動きもあった。

 県が発表した被害総額の内訳はサトウキビが約4億円を占め、野菜果樹類が約3千万円となっている。キビは宮古島が約2億5千万円、八重山が約7千万円と特に被害が大きかった。宮古島のマンゴーや久米島の野菜類の被害は含まれておらず、水産、畜産の調査も進めているため、被害総額は増える見込み。

 久米島町で農作物の生産や卸売りを行う「風の大地久米島」(平良義光社長)では、収穫目前だったオクラが強風で傷つき、株自体が倒されるなどしてほぼ全滅した。被害総額は100万円に上る。オクラは台風の襲来前まで毎日60~70キロをJAなどに出荷していたが、21日以降は船の欠航も重なり出荷できない状態も続いた。平良社長は「例年以上に停滞期間が長く、被害も大きかった。夏季の収入源を失い、厳しい一年になりそうだ」と肩を落とした。

 八重瀬町でヘチマとスイカを栽培する男性=南風原町=も、今年は例年より梅雨の期間が長く、本島を中心に降水量も多かったため「被害はダブルパンチだ」と嘆く。連日の大雨でヘチマは受粉できず、8月中旬まで収穫できない。被害は30万円以上になる見通しだ。400坪の畑に植えたスイカも、長雨でほぼ全滅。果実が大きくなっても糖度が乗らず、出荷できない可能性が高いという。男性は「天候次第で収入が大きく変動する農業は、ギャンブルと同じだ。次に備え、できることをやるしかない」と語った。

 県産マンゴーは収穫の最盛期に台風が直撃する事態は逃れたものの、航空便の欠航が続き、大消費地向けの出荷や中元配送が滞った。県内の量販店では品質が劣化する前に化粧箱入りのマンゴーをばら売りやカットして一般消費者向けに販売する動きが目立った。

 サンエー果実部門バイヤーの喜友名誠さんは「中元用を扱う最重要期に一部商品を出荷できず打撃があったが、26日から流通が再開し、注文や問い合わせ件数も徐々に回復している」とし、8月中旬までに巻き返しを図りたいと述べた。