最低賃金引き上げに異例の声明 「窮状考慮を」沖縄県内経済4団体


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 2021年度の地域別最低賃金額について全国で時給28円の引き上げとする目安が示されたことを巡り、県商工会議所連合会と県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県経営者協会の経済団体4団体は26日、慎重な対応を求めるコメントを連名で発表した。

 新型コロナウイルスによる経済影響が続く中、最低賃金の大幅な引き上げが実施されれば「懸命に事業を維持してきた事業者がさらに苦しい状況に追い込まれ、廃業の増加や雇用の維持に深刻な影響が出ることが懸念される」と指摘した。経営側による最賃改定前の声明発表は異例。

 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会は14日に、最低賃金改定額の目安として過去最高額となる時給28円の引き上げを示した。最終的な改定額は都道府県ごとの地方審議会で議論されるが、沖縄の最低賃金は現在792円で、仮に目安通り引き上げられると820円となる。

 コメントでは、中小、小規模事業者は補助金、助成金の活用や、新たな借り入れで資金繰りを確保してきたが「これから返済期限を迎え、本当に返済できるのか多くの事業者が危機感を抱いている」と窮状を訴えている。

 今後の地方審議会に対して「中小企業、小規模事業者や地域経済の窮状をしっかり考慮した議論、検討が行われるべきだ。政府はコロナ禍の影響に苦しむ中小企業、小規模事業者への支援や雇用対策に万全を期してもらいたい」と求めた。