「沖縄振興は安保」強調 自民調査会が提言案 離島振興に「尖閣」盛る


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自民党本部=東京都千代田区永田町

 【東京】自民党の沖縄振興調査会(小渕優子会長)は27日までに、来年で日本復帰50年となる沖縄の新たな振興計画について記した提言案をまとめた。28日に党本部で開く会合に提出する。中国の台頭と地政学的な背景を踏まえ、沖縄の発展は「わが国全体の安全保障環境の安定を意味する」と明記。離島振興の項目に「尖閣諸島」の文言を盛り込むなど、沖縄振興と安全保障の関連性を強調する内容となった。

 2021年度で期限切れを迎える沖縄振興特別措置法は「現行法の基本的枠組みをベース」に、見直しを入れる方針を示した。一括交付金制度の継続は「必要」とする一方、酒税の軽減は「見直しを行う必要がある」とした。党内の政務調査会審議会に諮り、月内にも決定する見込みだ。

 提言案は、軍事面や経済面で台頭し、米国と緊張関係にある中国に近い沖縄の地理的特性を踏まえ、「国境を担う沖縄において人々が安心して生活を営むことは、わが国全体の安全保障環境の安定を意味する」と指摘した。

 国家戦略として沖縄振興を進めることが、「総合的な安全保障の実現を通じてアジア・太平洋地域の安定に資する」としている。

 「離島振興」の項目では、中国海警局の公船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島にも触れた。在日米軍基地や自衛隊基地が集中する沖縄の現状について直接的な言及はないが、沖縄振興と防衛を含む安全保障がリンクするかのように読み取れる内容となっている。

 県民所得や労働生産性の低さを「解決が求められる課題」と指摘し、「子どもの貧困対策」は支援継続と「対策の充実を進めていく」とした。