沖縄のコロナ感染「1日1000人になる可能性も」「明確なブレーキない」医師が指摘


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 新型コロナウイルスに関する県疫学統計・解析委員会の高山義浩医師は28日、県庁で会見し、分析結果を説明した。1人の感染者が平均何人にうつすかを示す実効再生産数は、25日までの1週間で2・07だったとして「デルタ株への置き換わりも重なっているので、8月上旬にかつてない規模の流行に至る可能性がある」と指摘した。再生産数が1を超えると流行は拡大に、1を下回ると流行は収束に向かうことが知られている。

 高山氏は、ワクチン2回目の接種率が全年代で15%程度にとどまっていることを踏まえ「感染拡大を抑える集団免疫には達していない」と指摘した。

 「これまではまん延防止等重点措置や緊急事態宣言で明確なブレーキが踏まれていたが、現段階は明確なブレーキがない。英国、欧州で急拡大した事例を沖縄の人口に当てはめると、(新規感染者が)1千~2千人になる可能性がある」と話した。

 また、「今後1週間で入院患者数が過去最多の539人を超える恐れがある。コロナ関連の医療だけでなく、救急医療全般が持ちこたえられなくなる可能性もある」と述べ、医療逼迫(ひっぱく)の懸念も指摘した。

 12~18日の年代別感染者数は10代が147人となり、前週比で3・7倍となった。感染者が出た場合にクラスごと調べる学校PCR検査事業は35学級で1303人を検査したが、陽性者は5人だった。

 高山氏は学校PCRの陽性率の低さについて「10代の感染の多くは家庭内感染で、学校で広がっているのではない。つまり、夏休み以降も増加傾向が続く」と分析し、大人が家庭内に感染を持ち込む事例への警戒を求めた。

 圏域別では中南部で増加が顕著な一方、宮古・八重山の感染は低水準となっている。高山氏は市町村ごとの差が大きいことを指摘し「ワクチン接種率の違いもあるかもしれないので、今後報告したい」と述べた。

 米軍関係の感染増加につては「4日の独立記念日のイベントがきっかけだったと考えられる」と分析した。基地従業員の感染事例があり、疫学調査の聞き取りでは基地内のマスク着用率が低下しているという報告もあるという。