米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、玉城デニー知事は28日、最高裁判決に従って沖縄防衛局に大浦湾側のサンゴ類移植を許可した。記者会見では、許可に追い込まれたことに「じくじたる思いがある」と述べて不本意を強調した。軟弱地盤の改良工事を追加する設計変更の不承認を「本丸」に位置付け、8月後半以降で慎重に判断の時期を見極めている。
関係者によると、玉城知事は許可しない方法を模索していたが、結局、判決に従うしかないと判断した。背景には、政府の動きがある。農林水産省は今月21日、県に対し、判決に従って許可しなければ代執行の手続きに入る旨を勧告した。県敗訴の判決が確定している中、このまま代執行に関する法廷闘争に入れば、県の勝ち目はなかった。
県関係者の一人は「いくら裁判所の判断が不当でも、判決は判決だ。従わざるを得ない」と語った。
県は軟弱地盤の改良工事を追加する設計変更を不承認にした後、工事全体の完成が見通せないとして、今回出したサンゴ移植の許可も取り消す見通しだ。県幹部は「不承認にすれば、許可処分も意味がなくなる」と自信をのぞかせた。
さらに、県は移植許可の条件として高水温期や繁殖期(5~10月ごろ)を避けるよう条件を付けた。防衛局が条件を守れば、県の不承認を、国が法的措置で覆すまで移植は実行できないことになる。
ただ、防衛局は2018年、高水温期の8月に希少なオキナワハマサンゴの移植を強行した経緯がある。今回も県の条件を守る保証はない。許可が有効なうちに急いで実行する可能性もある。
玉城知事は「国が守らなかったら、おかしいでしょう。厳粛に対応してほしい」と国の強行をけん制した。
(明真南斗)