沖縄の優位性生かした新産業創出を提言 不利性の多さに指摘も 振興審部会


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 2022年度からの新たな沖縄振興の在り方を議論する国の沖縄振興審議会総合部会の専門委員会は28日、第21回目の会合を那覇市の県青年会館で開催した。今後、振興審議会へ提出する最終報告案を審議した。最終報告案では、1人当たり県民所得の全国最下位などの課題が残り、特殊事情に起因する不利性が多いとして、「沖縄振興策を総合的かつ積極的に推進していく必要がある」と明記した。具体的には沖縄の優位性を生かした新産業の創出を提言した。振興審議会でさらに議論され、最終的に政府へ結果を答申する。

 報告案では、現行の沖縄振興特別措置法に基づいて県が沖縄振興計画を策定する枠組みや一括交付金制度などについて、「今後の沖縄振興における多様な政策課題に対処するに当たっても実効性を確保していくことができる」と一定の評価をした。一方、「国は、重点的に取り組むべき事項を適切に見定めた上で直轄事業や個別の補助事業など着実に実施」とも明記され、国による「てこ入れ」も示唆した。

 東洋大教授の沼尾波子委員は「今後の沖縄振興は人材育成への支援が肝となる。多様な個人が自己肯定感を持って個性を育む環境を整える。主体性を育むエッセンスを文言に取り入れた方がいい」と提案した。大澤真委員は「沖縄が日本経済のけん引役になる必要があるのか」と実現性に疑問を呈し、今後は「強くしなやかな持続性を持った経済にしていく必要がある」と指摘した。