「安全安心な暮らしを」 普天間爆音第3次訴訟 原告、第1回弁論で訴え


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第1回口頭弁論を前にした集会で「頑張ろう」と気勢を上げる原告団ら=29日午前8時50分ごろ、沖縄市知花

 【中部】米軍普天間飛行場周辺の宜野湾市と浦添市、北中城村の住民5346人が、米軍機の実質的な飛行差し止めや損害賠償を国に求める「第3次普天間爆音訴訟」の第1回口頭弁論が29日、那覇地裁沖縄支部(足立堅太裁判長)で開かれた。原告から住民2人が意見陳述し「安全で安心な環境で暮らしたいだけ」などと主張した。国側は争う姿勢を示した。

 飛行場から約50メートル離れた宜野湾市喜友名に住む新垣清涼訴訟団長(71)は、孫が米軍ヘリの音に驚いて泣き、親にしがみつき震えていたと証言した。生活の中で「爆音から逃げられない、選択肢がない状況に置かれている」「爆音をなくす根本的な解決は飛行差し止め以外にない」と強調した。国の弁護団に向かって「静かな日々を返せ」と声を張り上げた。

 原告弁護団は、米国で軍用空港の滑走路延長線の一定地域には利用制限が課される一方、普天間飛行場周辺には公共施設などが密集しているとして「飛行場として危険で欠陥がある」と指摘した。日常の爆音が「健康で快適な生活を維持し、静穏な環境で幸福を追求する権利を著しく侵害するものだ」「日本国は違法な爆音について共同加害者で、米軍の運航などを規制できる」と主張した。

 国側は答弁書で、飛行差し止めと過去の損害賠償について請求棄却を、将来の損害賠償については不適法だとして却下を求めた。第2回口頭弁論は10月7日に開かれる。

 訴訟団によると、3次提訴と追加提訴後も住民から問い合わせが150件以上相次ぎ、2度目の追加提訴も行う方針。

 原告は、国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内の住民。午後10時~翌午前6時までの夜間・早朝の一切の航空機騒音の禁止と、午前6時~午後10時まで65デシベルを超える騒音の差し止めを求めている。損害賠償は1人月額3万3千円とし、将来生じる被害として結審後や判決確定後の賠償も求める。総額は約88億6千万円となる。