米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関する沖縄防衛局の設計変更について、県は審査の大詰めに入っている。工事の長期化で埋め立ての合理性が失われており、軟弱地盤の調査が不十分で提出された設計では安全性が確保できないと主張するとみられる。
工事の長期化で埋め立て理由と実態に矛盾が生じている点は、政府の言う「辺野古が唯一」が崩れていることを意味する。県内外の世論に響きやすく、理解が得られるとの見込みがある。
一方、裁判に発展した際に重要な争点になると考えられるのは、地盤の強度や安全性の問題だ。7月6日に県の敗訴が確定したサンゴ訴訟の最高裁判決で、県の主張を認めた少数意見は、軟弱地盤の深刻さが明らかになったことで仲井真県政時に要件を満たしていると認めた判断が無意味となっていると示した。
ただ、県と国の主張が食い違う点は、専門的な構造計算の方法などに関連し、丁寧に説明して裁判所の理解を得る必要がある。審査に時間を掛け、県側の論理をどう組み立て説明するか検討を重ねている。
県の不承認で辺野古新基地建設は完了の見通しが立たなくなる。
それにもかかわらず政府は「できる所を進めていく」(岸信夫防衛相)との姿勢で、膨大な血税を浪費し、環境破壊のリスクを膨らませようとしている。
(明真南斗)