名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が沖縄県のサンゴ移植許可撤回を不服として農相に審査請求をした件で、県は4日、許可撤回の正当性を主張する意見書を農相に提出した。県側は、撤回が水産資源の保護・培養に必要な対応であることや、一度損壊したサンゴの再生が不可能なことを訴えている。
農相は5日以降、執行停止の是非を判断する。認められると県の許可撤回の効力が停止され、移植作業ができる状態が復活する。沖縄防衛局の執行停止申し立てを受け、水産庁は県に4日までの意見書提出を求めていた。
沖縄防衛局は執行停止申し立てで、工事中止で生じる工事費損失などを根拠にしている。県側はこうした損失に比べ、サンゴ保護は一度損失した場合に再生不可能な点などを挙げて、執行停止での移植強行を「公共の福祉に照らして著しく不当」と訴えている。
辺野古新基地建設を巡り、沖縄防衛局はこれまで、県の埋め立て承認の取り消し(2015年)と撤回(18年)で国交相に執行停止を申し立てた経緯がある。国交相は県の意見書提出から数日後にいずれも認め、県の判断を無効化した。
沖縄防衛局は7月29、30日にサンゴの移植作業を行い、県は高水温期などを避けるとした条件違反に当たると判断して許可を撤回した。小野功雄沖縄防衛局長は4日、立憲民主党県連と共産党県委員会の抗議要請に対してそれぞれ「水温や専門家の意見も踏まえ作業当日の朝に現地の状況を確認して作業を実施した」と作業の正当性を強調した。