伊江島LCT爆発事件、記録集を発刊 8・6の会「平和への思いを満載」


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記録集「伊江島の記録と記憶 伊江島米軍爆弾輸送船LCT爆発事件」の編集委員ら=4日、伊江村のはにくすにホール2階会議室

 【伊江】米統治下の1948年8月6日、伊江島の波止場で米軍弾薬処理船(LCT)が爆発し、107人が亡くなった事件を風化させず伝えようと、「伊江島米軍LCT爆発事件8・6の会」は6日付で、記録集「伊江島の記録と記憶 伊江島米軍爆弾輸送船LCT爆発事件」を発刊した。

 事件が発生した年に生まれたという島袋義範会長は「同級生には事件で肉親が犠牲になった人が8人もいた。後遺症で苦しんでいる人もいる事実が、会を結成する引き金にもなった。事件の記憶が未来永劫(えいごう)に語り継がれることを希望する」と発刊意義を語った。

 記録集はA4判で114ページ。2020年11月に那覇市民ギャラリーで開催された写真展で紹介された爆発当時の記録写真のほか、証言などを収めた。パレット市民劇場でのシンポジウムの内容なども含まれている。

記録集「伊江島の記録と記憶 伊江島米軍爆弾輸送船LCT爆発事件」

 会顧問の並里弘安さんが体験者から聞き取り調査をした内容や、19年に西小学校6年生が同事件を題材に発表した平和劇「時をこえ伝えよう」の写真やシナリオも掲載する。

 代表顧問で元村長の島袋清徳さんは「事件を風化させず、後世に伝えねばという強い思いが集まり、発刊に至った。多くの人々の平和への思いを満載した貴重な歴史資料だ」と話した。

 事務局の長嶺福信さんは「体験者の話を聞き、体系化した本ができた。島の人の、島の人による島の記録である。多くの人に目にしてほしい」と語った。

 西小学校の教頭として平和劇に関わった玉城睦子さんは「6年生が演じた事実が記録として残り、人々の心の中に記憶として刻まれることを願う」と話した。表題は当時6年生の志良堂倫太郎さんが書いた。

 記録集は2千冊作成し、県内書店で2千円で販売予定。問い合わせは長嶺さん(電話)090(4470)8559。
 (知念光江通信員)