防衛省が6日に示したドローン規制法の対象となる県内の防衛施設は、前年から2.5倍以上の16カ所となり、規制が徐々に増している。政府は2019年の国会審議で区域指定を「緊急に安全対策を講じる必要のある、真に重要な施設に限定」(当時の山本順三国家公安委員長)すると説明していたが、遊休化が指摘される米軍那覇港湾施設(那覇軍港)や、民間地域を通る道路も対象区域となり、歯止めがかからない。
那覇軍港周辺では那覇市垣花町や字小禄や対岸の旭町や東町、通堂町などが規制地域となった。軍港と通堂町に挟まれた水域も対象だ。防衛省の資料によると、奥武山公園の一部も規制地域に含まれるとみられる。
近くの航空自衛隊那覇基地、陸上自衛隊那覇駐屯地も対象施設。周辺市街地でドローンの民間利用で影響が懸念される。
米軍嘉手納弾薬庫地区ではうるま市石川楚南や石川山城を通ってバイパスに接続する道も対象施設に。米軍ゲートの外で沿道に住宅も並ぶ民間地域だ。防衛省によると基地への進入路として米側が管理する「提供区域」になっているという。
名護市の辺野古弾薬庫では、建物の建て替えなど改修工事が進んでいる。本紙は19年に小型無人機を使って上空から工事の様子を確認した。米軍施設の改修に当たり機能強化につながらないかどうかの監視が重要だが、規制されれば、その手段が制限されかねない。
同年には弾薬庫そばで崖崩れも確認された。深刻化すれば重大事故につながりかねない。対象区域となると事前手続きが必要なため、万が一、事故や災害が発生した場合に上空からすぐにその状況を確かめることも困難になる。
防衛省は区域指定について「個別具体に判断した」としたが、各施設の指定理由について説明を拒んだ。山本氏は「取材活動や国民の知る権利に配慮した適切な運用が確保される」としていたが、なぜ指定が必要だったのか、住民が検証できない状態となっている。 (知念征尚・明真南斗)