名護市辺野古の新基地建設に関するサンゴ移植を巡り、沖縄防衛局は10日の有識者会議「環境監視等委員会」で、現在移植を進めているのとは別で、埋め立て予定海域の軟弱地盤の区域に生息するサンゴ類(約3万5千群体)についても、近く県に移植許可を再申請する考えを示した。また、現在作業中の地区で移植が完了すれば、中仕切り護岸N2の建設を進める方針だ。建設予定地のそばには、移植許可が得られていない大型サンゴやショウガサンゴが存在するが、濁りの発生を予測した結果、工事をしても問題ないと判断した。
移植許可を再申請する予定のサンゴ類は、小型サンゴ約3万5350群体と大型サンゴ21群体、ショウガサンゴ数群体。軟弱地盤が存在する区域に生息している。これらのサンゴ移植について防衛局は以前にも申請していたが、県は1月に軟弱地盤があって工事の完成が見通せないとして不許可にした。
防衛局は、県が認めてきた他の事業と比べても問題がないとの認識を示し、再度申請すると説明した。ただ、県は地盤改良に関する設計変更を不承認とする見込みで、その場合、県から直接、サンゴ移植の許可を得られない可能性が高い。
現在移植を進めている地区のサンゴ類について、防衛局は高水温期の移植はしないよう県の行政指導を受けたが従わず、移植許可を撤回された。防衛局は環境監視等委員会に対し、作業を実施していることは伝えたが、県による行政指導やそれに従わなかったことによる許可撤回、それへの対抗措置は説明しなかった。
防衛局は、高水温期の移植実施の判断基準として、移植先と移植元の海水温が28・92度以上になった日があり、さらに週平均水温が上がり続けていた場合、環境監視等委員会の委員に相談すると説明した。光合成活性度の著しい低下や、大規模な白化やその兆候も確かめると説明している。