くすりと笑い、ぐさりと響く…小学生のアイデア看板が話題 多良間島


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
村内に設置された児童らによる標語看板=6月、多良間村

 【多良間】「魚を追いこんでも 酒に追いこまれるな」。多良間村内各地に設置されている標語看板がくすりと笑いを誘い、ぐさりと心に響くと島内で話題だ。多良間小学校の児童らが制作し、「島を明るくしたい」との思いで14カ所に設置している。

 看板は、2020年10月に設置した。当時の5年生14人が総合学習の一環で制作した。県内離島の児童が集う離島交流体験学習や、村の一大行事で国の重要無形民俗文化財の「八月踊り」などさままざまな行事が、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止になったことがきっかけ。「村民がほっとできる。明るくなるようなことが何かできないか」と児童のアイデアで制作を決めた。

 「続けよう消毒(アルコール) お酒はノンアルコール」「あおりうんてん(運転)やめましょう。アオリイカは食べましょう」。感染拡大しているコロナへの注意喚起や交通安全、お酒にまつわる大人への戒めを込めたものなど、14枚の看板は児童の自由な感性と心情が存分に表れている。

村内に設置された児童らによる標語看板=6月、多良間村
村内に設置された児童らによる標語看板=6月、多良間村

 「魚を追いこんでも…」を生み出した佐和田瑛斗さん=現6年=は「お酒ばかり飲んでいる人に響く、良い看板だといろんな人から褒められた」と話した。標語は父親ともっと一緒に遊びたいと願いを込めた。「父さんは魚を追い込んで捕ってくれる。食べるとおいしいけれど、お酒を少し控えて僕を釣りに連れて行って」と願った。

 多良間村には高校がなく、子どもたちは15歳で親元を離れ、進学や就職のため島外に出る。限られた時間の中、目いっぱい親に甘えたい子どもらしい心情に「ほろりと来る」と多くの島民に評判だ。
 当時担任だった砂川卓也教諭は「児童らがのりのりでどんどんアイデアを出した。看板を作るところからペンキ塗り、設置まで全部、自分たちで頑張った。たくさん褒められ、児童たちも満足そうで良かった」と笑った。  (佐野真慈)