沖縄県産の米粉でシフォンケーキ 「グルテンフリー」の菓子販売


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県産米粉などでシフォンケーキを作る美膳米工房の山内美由紀オーナー=30日、那覇市首里

 今年3月に那覇市首里石嶺町に開業した焼き菓子店「美膳米(みぜんこめ)工房」(山内美由紀オーナー)は、小麦粉の代わりに米粉や玄米粉を使用したシフォンケーキ、食パンを製造し、県内では珍しい「グルテンフリー」の菓子製品として人気を集めている。欧米ではアレルギー対策や食の選択肢の一つとして浸透しているグルテンフリー商品だが、国内では取り扱う店が限られている。同店は中でも希少な沖縄県産の米粉を使用するなど、小麦アレルギーを持つ消費者などに支持されている。

 毎月300台受注 

 オーナーの山内さん自身が小麦など複数の食べ物にアレルギーを持っており、2017年ごろから米粉の焼き菓子について研究を始めた。健康志向だけではなく、味や食感にもこだわって試行錯誤を重ねた。「米粉で焼き菓子を作ると膨らみにくい。開業前には年間2千~3千のケーキを作り、周りの人にプレゼントして感想を聞いてきた。研究を重ねてようやく成功した」と振り返る。

美膳米工房が県産米粉などで作るシフォンケーキやソイガトーショコラなど

 原材料にこだわり、化学調味料や添加物を一切使わず、石垣島産、西表島産の米から製造した米粉や国産の玄米粉を取り寄せる。シフォンケーキのほか、パウンドケーキやガトーショコラなど約6種類の焼き菓子を販売している。

 一方で、米粉のコストは小麦粉と比べて約4倍も高く、経営上は引き合わないという。それでも、山内さんは「食べたい人のために作る。国内の農産物の自給率を上げるためにも、今後も米粉を使用し続けたい」と強調する。

 美膳米工房は現在、販売店舗は構えず、完全予約販売方式をとっている。開業後にSNS発信や口コミを通じて約100人のリピーター客がおり、毎月のシフォンケーキなどの注文も約300台に上る。今後、店頭での販売も視野に入れていくという。

 価格は、シフォンケーキが700円(サイズ12センチ)から。注文や問い合わせは、美膳米工房(電話)070(8382)7878。
 (呉俐君)