「共有スペース」は取材の宝庫 金城実倫(那覇・南部班)


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written by 金城実倫(那覇・南部班)

 南部の市町村を担当して1年余り。私は本社に出勤することが少なくなった。自宅から直接取材先へ行き、取材が終わると南城市役所の2階にある「共有スペース」で原稿を書いている。中城湾が見える景色と、窓から差し込むあかね色の夕日は文章を考える時にとても気持ちが良い。時間を忘れて、夜遅くまで居座ることもある。

 共有スペースは取材の宝庫でもある。南城市は昨年から公共施設を民間事業者が暫定的に利用できる「トライアル・サウンディング」制度を実施しており、共有スペースには託児所やリラクセーション、ネイルサロンなど、さまざまな業種の人が参加し、事業を起こしていた。

南城市役所2階の「共有スペース」

 「市役所で店を開きたい」―。トライアル・サウンディングに参加する事業者の夢を抱く人たちの思いにも深く感動した。時にはセラピスト講習の練習台となり、足つぼマッサージを体験することも。凝り固まった足をほぐしてもらい、元気をもらった。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発令。共有スペースは制限され、事業者の皆さんも来られない日が続いている。私自身も、最近では感染防止のために車内にこもって記事を書いている。いつかコロナが落ち着いたら共有スペースで「お久しぶりです。お元気でしたか」とあいさつがしたい。

(南城市、与那原町、座間味村、渡嘉敷村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。