新振興法の制定求める 国の沖振審議会、最終報告を意見具申


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 【東京】首相の諮問機関である沖縄振興審議会(会長・高橋進日本総合研究所名誉理事長)は23日、来年で日本復帰50年を迎える沖縄の新たな振興の方向性をまとめた最終報告を決定し、報告を踏まえた菅義偉首相宛ての意見具申を河野太郎沖縄担当相に提出した。2021年度末で期限を迎える沖縄振興特別措置法に代わる新たな法制度、駐留軍用地跡地利用促進についての新法制定を求めた。約2年にわたった審議会で新法制定を打ち出すのは初めて。沖縄振興一括交付金や高率補助制度については、「より効果が見込めるものを適切に実施していく」とした。

 政府は、昨年10月に策定した、これまでの沖縄振興計画の「中間報告」の内容も踏まえ、新たな沖振法の取りまとめを目指す。

 最終報告では、新たな沖縄振興の基本方向を「民間主導の強くしなやかな自立型経済の発展」と位置付けた。その上で「沖縄はさまざまな分野で人材の不足が指摘されているほか、全国と比べ官民連携の取り組みが低調」と現行計画の課題を指摘。県内企業の生産性や「稼ぐ力」の向上、人材育成の必要性を強調した。

 沖縄が抱える課題については、1人当たり県民所得の低迷や「子どもの貧困」などを挙げた。新型コロナウイルス感染拡大による入域観光客数減少の影響を受けた観光業を例に挙げ、沖縄の産業構造を「外的な変化に脆弱(ぜいじゃく)」と評価した。

 河野氏は「意見具申を踏まえ、現行(計画)後の在り方、それぞれの分野の具体化について検討を進めていきたい」と述べた。