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コロナ禍、異なる考えも大切にしたい<伊是名夏子 100センチの視界から>104


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
子どもたち、8歳と6歳の誕生日を迎えました

 全国各地で新型コロナの感染者数が最多を更新する中、ウイルスに罹患(りかん)する恐怖と同じくらいにつらいのが、感染に対するいろいろな考え方ではないでしょうか。

 私は感染すると重症化するリスクが高いため、感染対策には力を入れているつもりです。また家族に感染者が出るとヘルパーさんが来られなくなるので、どうやって生活を回していけばいいのか不安でたまりません。

 パートナーはたくさんの人と接触する仕事をしているし、子どもたちは集団生活を送り、さらに合計10人のヘルパーさんが家に来るので、人との接触を減らしづらいです。リスクを減らすために、できることを重ねるしかありません。布マスクではなく紙マスクを家の中でもなるべくする、エアコンを入れていてもこまめに換気をする、よく寝て体調管理に気を付ける、私の仕事や用事はできる限りオンラインに切り替え、買い物に行く回数も減らす、外食もテイクアウトのみ、会う友達も近所に住む1家族のみ。本当は沖縄にも帰りたいし、外食も、買い物も楽しみたいのに。

 自分がこんなにも自粛を続けることは意味がないのではないか、と思える時もあります。メディアの映像では、飲食店やショッピングモールはにぎわい、実家に帰省する人も多く、オリンピック・パラリンピックも開かれています。ヘルパーさんの中にも飛行機に乗って旅行したり、友だち数人と外食したり、ワクチンやPCR検査に反対の人もいます。

 いろいろな考え方があり、その人なりに考え、感染に気を付けていると思いますが、私自身に余裕がなくなり、支えてくれる人にイライラしてしまう時があります。責めるのは目の前の人ではなく、政策や社会なのに。そんな自分になってしまうのもつらいです。

 「コロナの台頭が分断を生む」と言われがちですが、そうではなく、もともとあった分断が浮き彫りになっただけだと感じます。ヘルパーさんはヘルパーの仕事を辞めることができるかもしれませんが、私は障害者をやめることはできません。人と接触しないと生活ができないのは、障害があるゆえのつらさです。

 不安でいっぱいのコロナ禍、少しでも安心して、人を信頼してつながっていくにはどうすればいいのか、と模索中。難しいですが、自分の考えを大切にしながら、違う考えの人も尊重するのが目標です。できることを重ね、乗り切っていきましょう。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。