すでに医療崩壊…医師が訴える入院調整の現状 「来週は堤防越えあふれる」


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 新型コロナウイルスの新規感染者が800人を超え、重症患者も35人と最多更新を続ける状況に、県対策本部で入院調整を行う医療コーディネーターの佐々木秀章医師(沖縄赤十字病院第一救急部長)は、「すでに医療崩壊に入っている」と強調した。

 各医療機関が診療や入院を制限して、重症者専用病床を確保している状況だが、夜間の救急搬送時は空き病床がない事態も起きているという。「各病院に何度も電話して、泣きつくように(ベッドを)空けてもらっているが、それもいつまでできるだろうか」

 以前は、夕方に埋まり始めた各医療機関の病床も、デルタ株流行後は、患者の症状悪化のスピードが速く、昼には病床の余裕がなくなるという。そのため病院に搬送できない患者を一時的に診る入院待機ステーションに患者がとどまることになり、ベッドを回すことが難しくなっている。「今後、待機ステーションを増やしても、病院のベッドが空いていなければ、どこで診てもらえるのか」と危機感を募らせる。

 新規感染者が800人を超え、これから旧盆休みの影響と、9月から学校再開も想定され、ピークはまだ先と考える「新規感染者数と入院患者の増加はタイムラグがあり、津波のように後から押し寄せてくる。来週は堤防を越えてあふれ出すだろう。もう正常な医療は提供できなくなる」とした。