公営住宅の入居に保証人、廃止を 沖縄県司法書士会が陳情提出


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陳情について説明する県司法書士会の中村敦会長(左)と安里長従さん=26日、那覇市おもろまちの同会

 保証人を確保できないことが公営住宅への入居を妨げている問題を巡り、県司法書士会(中村敦会長)は26日までに、那覇市、与那原町、伊是名村、久米島町を除いた37市町村と県議会に「公営住宅の入居に保証人を不要とする条例改正等を求める陳情書」を提出した。同日、那覇市おもろまちの同会事務所で会見を開いた中村会長は「連帯保証人を頼めない人は一定数いる。公営住宅は本来そうした人の受け皿となるべきところで、保証人が必要な状態では住宅のセーフティーネットとしての役割が果たせていない」と指摘した。

 陳情は18日付。(1)条例を改正して公営住宅に入居する際は保証人を不要とすること(2)緊急連絡先を確保できない場合に入居後の生活支援に関わる団体を緊急連絡先に代替させること―を求めている。

 問題を巡っては、高齢化社会を背景に、国土交通省が2018年3月に保証人確保を前提とするそれまでの方針を転換した。これを受けて、21年4月1日時点で公営住宅を有する全国1671の自治体のうち23%に当たる384の自治体が保証人を不要とすることを決めた。

 だが、県内で条例を改正したのは伊是名村と久米島町のみで、県全体の4.7%にとどまっている。那覇市議会と与那原町議会は今年3月議会で陳情を採択し、那覇市は9月議会で保証人廃止の条例案を提出する予定だ。

 また緊急連絡先の確保について、同会は「社会的に孤立している人たちにとっては、緊急連絡先についても、保証人と同様に確保が容易ではない」と指摘する。緊急連絡先の条件は各自治体が自由に設けることができるが、本島在住者に限ったり、年齢制限を設けたりするなどして、入居が難しくなる可能性がある。

 同会の安里長従さんは「緊急連絡先の条件によって入居できない人が出ると、本来の公営住宅の趣旨とは異なる。自治体がどんな条件を設けようとしているのか、市民やマスコミが監視する必要がある」と話した。