PFAS汚染水ドラム缶320本分に相当 6万4000リットル放出 未処理水も基地内残存か


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米軍普天間飛行場内で、国や県、米軍がサンプリング調査で採取した地点=26日午後4時半ごろ、宜野湾市内

 在沖米海兵隊は27日、本紙取材に米軍普天間飛行場に保管していた有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)汚染水6万4千リットル(一般的なドラム缶320本分)について、26日午前9時半から公共下水道へ流し、同6時半ごろには作業を完了したと明らかにした。

 防衛省は保管量の全体について「日米間の詳細なやりとりに当たる」として正式に回答しなかった。一方、複数の政府関係者によると、今回処分したのは汚染水の一部で、未処理の汚染水が普天間飛行場内にまだ残っているとみられる。

 宜野湾市によると、27日に松川正則市長が面談した際、キャンプ瑞慶覧で対応した米海兵隊太平洋基地政務外交部長のニール・オーウェンズ大佐は、大雨などで貯水槽があふれて市に被害を与えないように「貯水槽を空にしたい」との考えを示した。

 松川市長は、処理した水のサンプリング調査の結果が出て対応を協議すると理解していたとして「信義に反する。もう少し丁寧なやり方があったのではないか。非常に残念だ」などと反発した。「(米軍の)やり方に関しては理解できず、納得できない」とも指摘した。

 オーウェンズ大佐は「市長の言っていることを理解する。市民の気持ちも察する」と述べたという。処理後の水について、PFASのうちPFOA(ピーフォア)の値が1リットル当たり1・9ナノグラムで、PFOS(ピーフォス)はほとんど検出されなかったとも報告した。

 松川市長は「(次に放出することがあれば、地元と)協議するだろうと理解している」と話した。松川市長は27日午前、防衛省の岡真臣地方協力局長に抗議の電話をし、詳しい経緯の報告を求めた。

 同じくキャンプ瑞慶覧を訪れた謝花喜一郎副知事はオーウェンズ大佐に「県民生活に不安を与えている。風評被害で産業にも影響を与える。話し合いの場があるのに見切り発車で進めたのは、日本政府や県との信頼関係を著しく損なう」と訴えた。

 面談後、謝花副知事は「(話し合えば放出を)認めるわけではない。焼却処分すべきだ」と強調した。