東京パラリンピックの陸上男子400メートル(車いすT52)で、上与那原寛和選手(50)が銅メダルを獲得した27日、県内でレースを見守った関係者は「ついにやってくれた」と歓喜した。リオ大会ではあと一歩でメダルを逃した。悲願を達成した上与那原選手を「寛和選手は私たちの希望の星」とたたえ、1500メートルでもメダルを手にすることを期待した。
上与那原選手と親交がある我如古盛健さん(65)=うるま市=は、代表を務める障がい者の就労継続支援B型事業所「愛音楽(あねら)はうす」でテレビを見つめた。所内には関係者12人が訪れた。現場に集まれない利用者のためにオンラインの応援会場も用意し、上与那原選手の出身地・沖縄市の桑江朝千夫市長を含む約50人が参加した。
レースが始まるとパーランクーの音が鳴り、「がんばれー」と声援が響いた。上与那原選手が3位でゴールすると、興奮はピークに達した。我如古さんは「東京に出発する前にメダルを取ってくると約束していた」と喜びを爆発させた。
2004年のアテネパラリンピックから4度連続出場した、元車いすラグビー日本代表の仲里進(しん)さん(44)=浦添市=は「今回出場できなかった分、県勢であり戦友でもある上与那原さんにメダルを取ってほしかった」と健闘をたたえた。テレビ中継ではトップ争いを写し出し、上与那原選手のレース終盤の映像が見られなかったが「3番目にゴール前に現れたのが上与那原さんで安心した」と語る。
上与那原寛和後援会の眞島長治会長(82)=沖縄市=は「感動のあまり言葉が出ない。とにかくうれしい。1500メートルも期待している」と悲願のメダル獲得に歓喜した。上与那原さんを車いす陸上の世界に誘った、県車椅子陸上クラブ・タートルズ代表の荻堂盛助さん(73)=浦添市=は自宅で観戦した。「予選から良い走りを見せていた。最後のコーナーで追い上げた時は、自分も走るような気持ちで応援した」と感慨深そうに話した。