【北部】政府が米軍関係者による事件防止を目的に沖縄本島内で実施する沖縄・地域安全パトロール隊事業で、5年間の実績のうち泥酔者対応が75・4%を占め、米軍関係者に関する通報は0・6%の10件にとどまっている。事業の検証は行われていない一方で、今年3月までに計35億2600万円の予算が投じられており、事業の実効性が問われそうだ。
沖縄総合事務局によると、16年6月~21年6月の青パト隊から県警への通報は1667件で、75・4%に当たる1258件が泥酔者対応だった。
次いで交通関係98件、少年補導49件などと続く。米軍関連10件の内訳は、泥酔者対応が5件、交通関係が4件、けんか・口論が1件だった。
事業に支払われた予算は16年度2億6800万円、17年度7億9100万円、18年度8億4600万円、19年度7億6900万円、20年度8億5200万円だった。21年度は7億3千万円の予算が組まれている。
事業の効果について、総合事務局は「犯罪抑止効果は数字には表れにくい。泥酔者を放置すると新たな犯罪や事故に巻き込まれる恐れもあり、それなりの効果は出ている」と強調する。事業の効果を検証する第三者組織などはないという。
政府は20年3月、事業について「沖縄県における犯罪抑止を目的としており、特定の者を対象に行うものではない」との答弁書を閣議決定した。
総合事務局は「発端は事件だが、実際には当初から(対象を)特段米軍関係者に限っていた訳ではない」としている。
沖縄・地域安全パトロール隊事業 2016年4月の米軍属による女性暴行殺人事件を機に、政府が米軍関係者による事件の再発防止策として同年6月に始めた。沖縄総合事務局と防衛局が雇用する非常勤職員、派遣社員が午後6時半~10時半、青色灯を掲げた車100台で沖縄本島内を巡回。深夜は警備会社に委託する。人が集まる場の駐留警戒、女性の1人歩きや子どもへの声掛け、街灯の確認などを行う。