塾講師から少年が性被害…強制わいせつ罪で起訴されず 被害者と母証言「法律で子ども守れない」


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元塾講師からのわいせつ行為について「怖くて、どうしていいかわからなかった」と語る中学生の少年=24日、本島中部

 2019年に本島中部の学習塾で講師を務めていた30代の男性から、性的被害を受けた中学生の少年と母親が29日までに、琉球新報の取材に応じた。少年は4カ月にわたって授業中に講師から体を触られるなどの被害を受けたが、恐怖と恥ずかしさから抵抗できずにいた。だが、講師が手をズボンの中に入れるなど行為がエスカレートしたため、意を決して母親に告白した。

 講師は強制わいせつ容疑で県警に逮捕されたが、検察はより罰則の軽い県青少年保護育成条例違反の罪で略式起訴した。裁判所は罰金50万円の略式命令を出して事件は終了した。少年が明確に抵抗しなかったため、地検は強制わいせつ罪で起訴しなかったとみられる。

 母親は「息子は事件後、いろいろな面で後ろ向きになった。目を輝かせて学校に通っていたあのころの息子にはもう戻れない。こんな法律では子どもは守れない」と憤りを感じている。

 講師は少年が小学生から通っていた塾に途中から入ってきた。当初は頭をなでてくる程度だったが、スキンシップはだんだんとエスカレートした。隣に座った際、他の生徒に見えないように太ももなどを触られた。少年は母親に「塾に行きたくない」と伝えたが、聞き入れられなかった。

 母親は「『塾を辞めたい』と言った時にどうして辞めさせなかったのか」と今も自分を責めている。少年は「こんな軽い罪ではなく、刑務所に入ってほしかった」と語った。

 逮捕された講師から少年に届いた謝罪文には「良き理解者になりたいと心から思っていた」「私自身のゆがんだ愛情により、彼を傷つけることをしてしまった」などと記されていた。

 本紙は講師に取材を申し込んだが、応じなかった。講師の母親は「私たち家族も大変ショックを受けている。事件が本当だったら、被害者に大変申し訳ない」などと話した。