三線職人の「人育て」 学校に100丁の三線を寄贈 浦添市・仲嶺さん


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沖縄県認定工芸士の楯と三線の棹の前に立つ仲嶺盛文さん=浦添市

 【浦添】浦添市伊祖にある「仲嶺三線店」の三線職人の仲嶺盛文さん(75)は、県工芸士の名工だ。仲嶺さんは12歳年上の兄・盛英さん(故人)に弟子入りし、独立開業して43年目になる。

 仲嶺さんは文献に残る図面を基にした三線製作や修理を数えきれないほど行い、浦添市美術館や県立博物館などの展示会で自作の三線を展示した著名な職人。また琉球三線楽器保存・育成会の委員として、海外を含む県内外の三線鑑定士としても活動している。

 仲嶺さんは三線製作依頼の際には「依頼者の声質に合わせて三線製作を行い、その人に合わせて師匠(古典)を勧めている」と述べ、「人を育てることが大事」との思いから近隣の小学校や特別支援学校などに合計100丁の三線を寄贈してきた。

 仲嶺さんは息子・幹さん(45)に幼少から三線への向き合い方を含め指導している。現在は三線職人として那覇市安里にある兄・盛英さんの店を引き継いでいる。仲嶺さんは幹さんに対して「三線職人としてだけではなく、商売人として家族を養えるようにしなさい」と指導している。

 琉球古典音楽野村流音楽協会の師範で奏者としての稽古も続けている仲嶺さんは、今日も三線に向き合い続けている。問い合わせは仲嶺三線店(電話)098(877)9589。
 (喜納高宏通信員)