石垣陸自配備めぐる住民投票訴訟 上告棄却に原告「とても残念」 憲法判断に踏み込まず


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石垣市役所

 【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、石垣市民が計画の賛否を問う住民投票を実施するよう市に求めた訴訟は30日までに、最高裁で審理されることなく棄却された。住民投票を求めてきた原告団は憲法判断に踏み込まない司法に落胆し、市は「正当性が認められた」と述べるなど、明暗を分けた。

 原告はこれまで、当時の市自治基本条例に基づいて住民投票実施を求めてきた。条例は、有権者の4分の1超の署名で「市長は所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」と規定していた。

 市民らは「陸自配備に関する議論が不十分」などとして、有権者の3分の1超の署名を集め、住民投票の実施を請求した。市は住民投票条例案を市議会に提出したが、否決された。市は否決された時点で請求の効力は消滅したと主張。市民と市が法廷で争うこととなった。上告にあたり、市民らが提出した上告理由書は、福岡高裁那覇支部判決が条例は市長に住民投票実施を課す規定ではないとしたことは、地方自治の本旨を保障する憲法92条に違反しているなどと訴えていた。

 上告棄却を受け、原告団はコメントを発表。「控訴審の判決内容でいくつもの憲法違反や法令違反があったのは事実なので、ぜひ最高裁で審理すべきだと考えていたが、とても残念だ」とした。その上で、「市長が当初から主張している『国防に住民投票はなじまない』との理論は、司法の場では一切立証されなかった。市が住民投票をしない理由がなくなってしまったことも事実だ」と指摘した。

 中山義隆市長は「市の主張の正当性が認められたと考える。今後とも適切な市政運営に努めていく」とコメントした。