コロナ発症の遺伝子群を特定 免疫低下の一端わかる 琉大・沖縄高専など研究


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 琉球大学と沖縄工業高等専門学校、中央大学の研究チームは、新型コロナウイルス感染症に関連する遺伝子群を初めて特定し、生命科学と情報科学分野の融合領域「バイオインフォマティクス」を活用した、新型コロナで人の免疫機能が低下するメカニズムの一端を解明した。30日発表した。

 研究チームは、新型コロナの患者16人と健康な人18人の計34人の遺伝子約6万個を人工知能(AI)を使って解析し、新型コロナの発症に関連する遺伝子123個を特定した。これらの遺伝子の発現を上流で制御するタンパク質(転写因子)を特定した。転写因子は免疫機能を持つ遺伝子を多く含み、活性が抑えられている可能性などを解析した。

 研究チームは新型コロナ感染症の全容解明のため、ゲノムデータ解析による知見の積み重ねの必要性を強調し、今後は重症化や変異株に関する遺伝子について研究する予定だ。

 琉球大学理工学研究科2年(現・東京工業大学生命理工学院1年)の、藤澤孝太さんは「研究成果を新しい薬の開発に生かしてほしい」と期待した。

 研究成果をまとめた論文は30日、学術誌「Scientific Reports」(サイエンティフィック・リポート)に掲載された。