沖縄県、石垣のゴルフ場開発を同意 リゾート開発前進へ 自然保護団体は反対


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石垣市内でのゴルフ場開発で、地域未来投資促進法に基づく土地利用調整計画について知事から同意が得られたと発表した中山義隆石垣市長(中央)=1日、石垣市役所

 【石垣】石垣市でのゴルフ場を含むリゾート施設開発で、石垣市の中山義隆市長は1日、市役所で記者会見し、地域未来投資促進法に基づく土地利用調整計画が8月30日付で、玉城デニー知事から同意を得られたと発表した。

 計画地に原則、転用ができない農地が含まれていたことから計画が遅れていたが、同意により開発は前進する。

 地域未来投資促進法は、地域の特性を生かした、高付加価値を創出し、地域の事業者に経済的効果をもたらす事業を促進することを目的としている。市町村と都道府県が作成し国が同意した基本計画に基づいて、事業者が作成する事業計画を都道府県が承認する。事業計画について予算支援や規制の特例措置などの支援措置があり、県が農地転用の許可について配慮することも含まれている。

 事業者のユニマットプレシャス(東京)の計画では、計画地はほぼ全域が農業振興地域(農振)で、原則転用ができない「第1種農地」も含まれている。今回の県の同意で、事業者が事業計画を提出し、県による審査、承認を経た後、農振の除外や農地転用の手続きに入ることになる。

 1日の会見で中山市長は「(開発が)アフターコロナの観光の目玉となる起爆剤になればと思っている。今後、環境にも配慮して事業着工してもらえると確信している」と語った。

 市によると、開発で農地が失われることで、営農へ最大約4・8億円の影響が出る。一方で、開発に伴い237~268億円の経済効果が見込まれるという。

 計画を巡ってはラムサール条約にも登録された「名蔵アンパル」の環境に悪影響を与えるとして、地元の自然保護団体「アンパルの自然を守る会」が計画を認めないよう県や県議会に要請・陳情している。

 同会の島村賢正共同代表(71)は「開発計画はSDGs(持続可能な開発目標)にそぐわず石垣のためにならない。県には計画を承認しないよう求めていきたい」と話している。