沖縄県内の労働相談、初の1万件超 20年度、コロナ助成金など押し上げ


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沖縄労働局

 沖縄労働局(福味恵局長)は8月31日、2020年度に県内6カ所の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数が前年度比11.6%増の1万102件に上ったと発表した。2001年に統計を開始して以来、初めて1万件を超えた。雇用調整助成金など新型コロナ関連の助成金に関する問い合わせの増加が、全体の相談件数を押し上げた。民事上のトラブルである「個別労働紛争」の相談では、「いじめ・嫌がらせ」が5年連続で1位だった。

 総合労働相談のうち、「法令.制度の問い合わせ」が前年度比8.4%増の5925件で最も多く、「個別労働紛争」が同11.8%減の2078件、法違反にかかわる相談や行政指導の実施を望む「法施行事務」が同1.3%減の1796件などだった。

 個別労働紛争の相談内容の内訳は、「いじめ・嫌がらせ」が前年度比16.9%減の566件で最も多く、次いで「解雇」の同7.8%減の369件だった。

 沖縄労働局は「新型コロナの影響で経済活動が停滞しているため、紛争になるようなきっかけが減少し、トラブルも減ったのではないか」と分析した。

 個別労働紛争のうち、労働局長が紛争当事者に問題点を指摘し、解決の方向性を示す「助言や指導」の申し出件数は前年度比13.0%減の107件だった。このうち105件(前期繰越含む)を実施し、49件が解決された。解決率は46.7%だった。

 弁護士や大学教授などでつくる「紛争調整委員会」へのあっせん申請件数は前年度比24.4%減の99件で、実際に紛争当事者が「あっせん」に参加して開催に至ったのは40件(繰越分含む)だった。27件が解決された。

 沖縄労働局は「職場におけるパワーハラスメント防止のため、雇用管理上必要な措置を講じることが義務となっている。2022年4月1日から中小企業も適用対象となる」と指摘した。