ソリストに抜擢!ロシアのバレエ団へ入団 南条幸子研究所出身の安村さん


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
ロシアのウラルバレエ団にソリストとして入団することが決まったバレエダンサーの安村秀熙=8月19日、那覇市首里の南条幸子バレエ研究所

 南条幸子バレエ研究所出身のバレエダンサー安村秀熙(ひでき)が、9月からウラルバレエ団(ロシア)のソリストとして入団することが決まった。今年はオンラインで開催された「グランドオーディション」に参加し、同バレエ団の芸術監督からオファーがあった。安村は「挑戦できているということだけですごく恵まれている。次に進むチャンスが回ってきたことを大事に受け取りたい。やることをやるしかないという気持ちだ」と前を向く。

 安村は2002年、南条幸子バレエ研究所に入所し、南条に師事。15年には第5回琉球新報国際バレエコンクールで県知事賞を受賞した。NBA全国バレエコンクール中学生男子の部でも1位を受賞。その後ハンブルク・バレエ学校に留学。18年にシビウバレエ団(ルーマニア)に入団し、昨年4月、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時帰国した。バレエ団の活動再開を待ちながらも、県内で公演活動や研究所に通う生徒の指導にあたる日々が続いた。

 新たな活動の道を切り開くため、今年1月に活動拠点を広州バレエ団(中国)に移していたが、同時期に応募した世界各国のバレエ団のディレクターが集う「グランドオーディション」の最終選考に残った。審査を経て、元ロイヤルバレエ団、元マリインスキーバレエ団のプリンシパルで、ウラルバレエ団芸術監督のヴャチェスラフ・サモドゥーロフ氏から入団のオファーを受けた。

 安村は「表現力とテクニックをどういうふうに見せるか、動きの質にもこだわりがあった。審査を通して芸術性を見いだしてもらえた。ソリストで入団できるということを聞いたときは、すごく驚いたが、この監督についていきたい、バレエ団で踊りたいと思った」と経緯を振り返る。

 ウラルバレエ団は、クラシック、モダン、創作などをレパートリーに、新作の上演数も多く、バレエの本拠地のロシア国内でも注目されている。安村は「従来のものだけでなくいろんな要素を取り入れるのが監督の方針でもあり、クリエーティブな部分にひかれた。一ダンサーとして、バレエ団の中にいかに(技術を)提供できるかというところで、すごくやる気が湧いている」と意気込んだ。

 バレエ団の本業の傍ら、今年4月から早稲田大学の人間科学部通信教育課程を受講し学業との両立を目指している。「プロとして評価されるには、日頃から何を見て何を考えるか、踊り以外の視野を持つことや、自分自身の軸を持つことの大切さに早い時期に気づけたことは幸運だった」と笑顔を見せる。さらなる高みを目指して歩み続ける。
 (田中芳)