【識者談話】性被害者おとしめる主張「やっぱり」 差別意識が今も(高里鈴代氏)


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 軍法会議は明らかにされないことが多く、今回、高内悠貴氏が収集した資料は大変貴重だ。

 軍法会議はそもそも軍隊の規律を維持するための仕組みであって、被害者救済が目的ではない。軍法会議で被害者をおとしめる主張が繰り返されていたのは「やっぱり」という感想だ。

 2016年にうるま市の女性を殺害した米軍属は、日本の法制度で性犯罪は親告罪であり、被害者による通報率も低いことを知った上で「逮捕されることについては全く心配していなかった」と、弁護士を通じて星条旗新聞にコメントを出した。

 軍属の主張は珍しいものではなく、暴行しても訴えられる可能性は低いという主張が、米軍人から幾度も出ている。沖縄女性への差別意識は復帰前の特徴ではなく、現在にも連綿とつながっている。

 兵士は素行不良者の集まりではなく、国家がリクルートした公務員だ。その集団の中で差別意識が根付いていることが恐ろしい。

 由美子ちゃん事件の加害者家族が沖縄の「反米感情」を根拠に減刑を訴えたのも、現在に続く米国人の主張だ。人間の尊厳をおとしめられていることへの抵抗も「反米感情」としてくくられている。

 アジア人への差別や女性への差別など、幾重にも重なる差別の連鎖の中に、沖縄は今も置かれている。
(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)