沖縄の病院、手術2300件減…診療制限が影響 県医師会、通常医療の危機訴え


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 全身麻酔を伴う手術件数について、新型コロナウイルスの感染拡大により今年2~8月は、新型コロナ流行以前の2019年同時期と比べて、2334件減少したことが4日、県医師会の重点医療機関14病院への緊急調査で分かった。各病院ではコロナ病床の拡大に伴い、一般診療が制限されている。県医師会の安里哲好会長は「通常医療に相当のしわ寄せがきていることを、県民も理解してほしい」と危機感を訴え、感染防止対策の徹底を呼び掛けた。

 緊急調査はコロナ診療を担う25重点医療機関のうち21病院に依頼、14病院から回答を得た。病院名は非公表。病院ごとの集計期間は異なるが、19年は計2万3324件で、今年は計2万990件と約1割減った。減少件数のみでは2596件だった。減少幅が最も大きい病院は751件。減少幅は300件台が3カ所、200件台が2カ所、100件台が2カ所だった。

 県内の医療機関は、コロナ対応に特化するため、災害時などに必要な業務に人員を集中する事業継続計画(BCP)を発動している。同計画に基づき、外来診療停止や予定手術の延期などの診療制限を実施してきた。

 安里会長は、前例のない感染症の大流行であることに触れ、「入院患者のピークはまだ見通せていない。多くの医療機関では診療制限が続いているほか、病床や人材確保において厳しい現状が続いている」と、さらなる感染防止を呼び掛けた。
 (當山幸都、嘉陽拓也)