世界のトップと駆ける姿 両親「翼の羽が見えた」 東京パラ・喜納翼選手7位入賞


この記事を書いた人 Avatar photo 山城 祐樹

 「とにかくお疲れさまを言いたい」「よく頑張った」。国立競技場付近でマラソン女子(車いすT54)のレースを見守った喜納翼選手の父、肇さん(61)と母、貴子さん(61)は5日、晴れ舞台を終えた娘をねぎらった。 

 喜納選手は大学1年のとき、トレーニング中の事故で脊髄を損傷し、下半身まひに。下地隆之コーチとの出会いがきっかけで2013年、車いす陸上を開始した。アスリート用の食事を用意するなど両親はこれまで支えてきた。

 「けがしたときはとてもショックだった」。肇さんは当時の心境を振り返りながら「負けず嫌いなところがあるから、何かをするだろうとは思ってた。パラリンピックで走れて、とにかくうれしい」と喜んだ。

 世界のトップアスリートの中でレースを進める姿に「翼の羽が見えた。かっこよかった」と語り、努力を重ねつかみ取った7位入賞の勇姿をたたえた。

 祈るような気持ちでレースを見守ったという貴子さんは「よくやってくれた。ほっとした」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。レース当日の午前3時、緊張しやすい娘を思いLINEには「おはよう」と一言だけ送った。喜納選手からは「バスに乗った」との報告があったという。

 貴子さんと肇さんは、喜納選手が下地コーチをはじめ多くの人たちに支えられて今回のパラリンピックに出場できたと言う。「本当にたくさんの人が応援してくれ、本人の力になったと思う。ありがとうございます」と繰り返し感謝した。