「激戦地土砂問題」鉱山に戦没者の遺骨か 沖縄県調査で発見


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糸満市米須の鉱山。県が遺骨収集を実施したのは山肌が出ている写真の中央部付近。重機を運んだルートは草がはがれている(沖縄ドローンプロジェクト提供)

 沖縄県と県戦没者遺骨収集情報センターが8月下旬に糸満市米須の鉱山で実施した3回目の遺骨収集で、戦没者遺骨とみられる上半身の遺骨が見つかっていたことが6日までに分かった。

 県によると、3回目の遺骨収集は8月16~25日に実施した。2020年11月に沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんが遺骨を見つけた場所で、県に埋め立てのため、土砂採掘の届け出をした事業者の土地の一部。

 県などによる、今年2~3月の1、2回目の遺骨収集では複数の骨片が見つかった。これ以上、手作業で掘り進めると岩が崩れるとの懸念から、今回は重機を使って岩を砕いたという。

 砕いた範囲は横12メートル、奥行き7メートル。岩の下から頭蓋骨の一部や首の骨が見つかった。下半身は見つからず、身元が特定できるような遺留品はなかった。県は、遺骨のDNA鑑定が可能か、厚生労働省の専門家に見てもらうとしている。

 重機を使った遺骨収集に対し、市民から遺骨の破壊や散逸への懸念が出ていることについて、県の担当者は「その可能性はない。重機を通すルートは専門家の意見を聞いて決めた。砕いた岩は土砂と混じらないようにしている」と述べた。

 具志堅さんは「県による発掘でも、未収骨の遺骨があると確認された。その土地の土砂を基地の埋め立てに使うのは戦没者の尊厳を損なうことだ」と述べ、本島南部での土砂採取をやめるよう改めて求めた。