小中高校生が自ら命を絶つ件数が増えています。厚労省によると、1980年以降、2020年は最も多い499人で、上半期だけで203人でした。今年は上半期だけですでに234人となっており、昨年より増えるであろうと言われています。コロナ禍のストレスをはじめとする、厳しい生活環境が影響をしているのでしょう。
うつ症状を抱える子どもも増えており、小学4年生から高校3年生の924人にアンケートをした結果、約4人に一人が中程度以上のうつ症状に該当したそうです。子どもの幸せが守られていないこの現状に、心が痛みます。
コロナのワクチン当日接種を始めた渋谷区では、200人の枠を求めて、夜中から若い人が並びました。政府のコロナ対策は若い人に自粛だけを求め、彼らの現状を把握せず、支援もありませんでした。報道では、若い人は感染対策への意識が低く、ワクチン接種もせず、感染を広めると伝え、若い人への非難と自己責任をあおるものもありました。
若い人は、さまざまな理由から感染対策がしにくいのです。不規則な仕事のため休みが取れない人も多く、予約制の接種が厳しい。コロナ禍で収入が減り、人員削減でより休めない。人と接することが避けられない仕事で、感染リスクが高い。ワクチンを受けたくても予約が取れない。時には高齢者を優先した方がいいと考え、若い自分が受けるのは申し訳ないと感じた人もいたでしょう。政治が、市民が、若い人を蔑ろにしているのです。
20代の若い人たちは社会の中で生きづらさをより抱える人たちなのではないでしょうか。「もう子どもじゃないんだからしっかりして」と失敗や甘えを許さないかと思えば、「まだ若いのだから、経験者の話を聞いて」と声を奪い、考えることをやめさせ、無理を強いるのです。年上の人が良かれと思ってするアドバイスが、若い人を追い詰めることがあるかもしれません。特に沖縄の若い人たちは、年上の方々を敬い、優しいので、自分のことを後回しにしているかもしれません。
多くの人が大変な毎日で、誰かを思いやる余裕がなく、つらい時もあるでしょう。でも生き抜くのが特につらい若い人たちの、声なき声をひろい、寄り添い、優先的にサポートしていきませんか?若い人が幸せな社会にこそ、みんなの幸せが築かれると信じています。
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。