【深掘り】報道きっかけに判明、公表に2カ月…空自那覇PFAS 全国調査に至るまで


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航空自衛隊那覇基地から飛散した泡消火剤=2月26日、那覇市高良

 2月に航空自衛隊那覇基地の消火設備から有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が流出した問題に関し、自衛隊が基地内を調査したところ、本来、有機フッ素化合物を含まないはずの真水用の水槽から高い値が出た。防衛省は同じ設備がある全国の自衛隊施設で調査することを決定。那覇基地で発生した汚染問題が全国に波及している。

 那覇基地内には消火設備が8カ所あり、それぞれ消火薬剤の原液を保管しているタンクと、水道水をためている水槽がある。使う際には薬剤の原液と水を混ぜて噴射する。今回、高濃度で有機フッ素化合物が検出されたのは、薬剤と混ぜる前の水だ。自衛隊は水道水をためており、高濃度で検出されることは想定していなかった。

 真水用の泡消火専用水槽から、有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計値が水1リットル当たり46万3400ナノグラムと、1万4540ナノグラムが検出された。国の暫定指針値(両物質の合計が水1リットル当たり50ナノグラム)を大きく上回り、最大約9200倍に当たる。

公表まで2カ月

 調査業者が防衛省に分析結果を伝えたのは6月30日で、那覇基地が知ったのは7月7日だ。約2カ月、公表しなかった。その理由について自衛隊は「原因究明のため、聞き取り調査や設備の確認をしていた」と説明するが、結局は「原因不明」と結論付けた。

 在沖米陸軍貯油施設でも6月、貯水槽から有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)汚染水が漏れ出た。米軍はすぐに、逆流した消火剤が残っていたと明らかにした。那覇基地の消火設備でも、真水用の水槽と消火薬剤をためるタンクはつながっている。

 だが、自衛隊は那覇基地の設備には逆流防止のバルブが付いており、機能にも問題がないことを確認したと説明する。消火設備を扱う隊員や元隊員に聞き取り調査をしたが、原因を特定できなかったという。

気付かなければ

 那覇基地での含有要因が不明である以上、全国の自衛隊施設でも同様に、消火剤と混ぜるための水に有機フッ素化合物が含まれている可能性を否定できない。

 全国の自衛隊施設では順次、非PFOS剤への切り替えが進んでいる。だが、薬剤を替えても、薄めるための水にPFOSが含まれていれば、結局、有害物質が流出することになる。

 自衛隊は2月の事故当初、流出した消火剤はPFOSは含んでおらず、問題ないとの認識を示していた。その後、飛散した泡からPFOSが検出されたという報道を受け、実態把握に乗り出した。

 その調査で偶然、真水用の水槽にもPFOSなど有機フッ素化合物が含まれていたことが明らかになった。含有に気付かなければ、意図せず使い続けていた可能性がある。

(明真南斗)