沖縄・高江工事終了後も警備継続 8465万円で契約更新 防衛局「抗議の座り込み対策」 


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雨が降りしきる中、米軍北部訓練場のN1ゲートに立つ警備員=7日午後、東村高江

 沖縄県の米軍北部訓練場(東村、国頭村)のヘリ発着場(ヘリパッド)建設を巡って、沖縄防衛局は昨年7月の工事終了後も抗議の座り込み対策として、民間警備員による基地ゲート警備を続けている。今年6月に工事終了後で初めて警備契約を更新し、来年3月までの費用は8465万円に上る。同局は「同訓練場の出入口で車両通行妨害が継続している」と正当性を訴えるが、識者からは「会計検査院などの検討が必要だ」との指摘も出ている。

 沖縄防衛局は2007年に北部訓練場の過半返還の条件となったヘリパッド新設工事を始めた。16年12月までにヘリパッド6カ所を新設し、その後は訓練道路などの建設を続けた。並行し「工事の妨害行為などの再発防止」として県道70号に隣接する「N1」「N4」ゲートなどで警備を実施してきた。

 沖縄防衛局の本紙取材への回答によると、同局はヘリパッド建設やMV22オスプレイの運用などへの反対運動を受け、米軍から「基地へのアクセス確保」を求められていた。門などの設置を目的に、19年11月から道路管理者の県と協議をしてきたが、同意を得られず「代替的な再発防止策」として民間警備員の警備を続けていると説明した。

 県は門の設置許可に至らない理由を「車両の通行を妨げ、安全に支障があると思われるので現時点で許可していない。路肩も含めて道路であり、車がはみ出して走行する可能性も考慮する必要がある」と説明している。

 「N1」ゲート前で監視活動を続ける「『ヘリパッドいらない』住民の会」の清水暁氏は「現在は米軍車両の通行阻止ではなく、プラカードなどを使って抗議している。税金の使い道として無駄だ」と指摘した。

 五十嵐敬喜法政大名誉教授(公共事業論)は「米軍が関係すると、政府の財政支出は不可解になる。日米地位協定上の判断も含めて、日本側が負担する理由や経緯を明らかにさせ、検討が必要だ」と指摘した。 (塚崎昇平)