県は7日、発電細菌を利用した養豚排水監視装置「BOD監視システム」の販売を開始したと発表した。システムは、国や農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県)などとの共同プロジェクトで開発した。IoTを駆使して水汚れの指標となる生物化学的酸素要求量(BOD)の検出時間を大幅に短縮するほか、効率的な曝気(ばっき)により電気代や人件費など排水処理コストの削減も期待できる。
システムは、有機物を分解する際に電流を発生する微生物群「発電細菌」を利用し、発生した電流値からBOD濃度を推定するバイオセンサーを搭載する。
近年、畜舎排水の環境規制が強化され、排水の窒素含有が高い養豚業の対応が課題となっていた。窒素の除去には排水のBOD濃度に応じた曝気の制御が必要だが、これまでBODの測定には5日間を要していた。新システムは6時間でBODを推定できる。
監視システムは、測定したBOD濃度と曝気槽の水素イオン指数(pH)の値に基づき、送風装置の最適な運転サイクルを自動で選択して排水を処理するため、余分な電気料がかからず省エネにつながる。IoT機能を備え、水質データなどはスマートフォンで閲覧、遠隔管理もできる。
畜産研究センターの鈴木直人所長は「処理時間の短縮によるランニングコストの削減や、窒素規制強化への対応も期待できる。スマート農業の推進にも寄与する」と述べた。