事務局長時代を含め、沖縄平和運動センターの活動を17年間リードしてきた山城博治議長が10日に退任した。これまでの活動や今後の取り組みについて話を聞いた。
―これまでの運動の意義や成果は。
「与那国に米軍掃海艇が入港した時、ケビン・メア在沖米国総領事(当時)と初めて会い、その後石垣、宮古とあちこちで激しくぶつかった。その後は高江、辺野古で現場を張ってきた。最初は米国と向き合っていたが、途中から日本政府と向き合うことになった。総じて言えるのは、何も変わっていない。基地はますます強化された。島々の軍事基地化が進んでいる。このような時期に退任するのは慚愧(ざんき)に堪えない思いだ」
―阻止行動で逮捕されることもあった。大衆運動を率いて感じたことは。
「安倍政権に変わり、警備が変質した。温和だった県警機動隊の目の色が変わったのを覚えている。2014年以降の辺野古はむちゃくちゃな警備でけが人が続出した。私たちだけでなく、県警も警視庁に監視されていた。沖縄の大衆運動を語る時、東京サイドを抜きには何も語れない」
「与那国でも石垣でも高江でも辺野古でも、始めは住民の苦情をたくさん受けた。大衆運動の難しさはそこにある。後に大変な事態になっても、被害が見えない間は伝わらないこともある。政府や警察とも向き合うが、最も重要なのは地域とどう向き合うか。誤解がないようにメッセージを発しないといけない」
「厳しいこともあるが、大衆運動は楽しくないと駄目だと思っている。私自身、学生時代の経験から、きゅうきゅうとした運動は嫌だった。だから下手な歌を歌い続けた。人は心の中に違うチャンネルがある。歌や踊りに感涙し、深い悲しみ、喜びを感じるチャンネルが重層的にある。そういう感情を引き出しながらやってきた。後任にも、下手でもいいから歌えと言いたい」
(聞き手・稲福政俊)
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