米軍が普天間飛行場にためていた有機フッ素化合物(PFAS)汚染水を公共下水道に流した問題を巡り、宜野湾市による調査で下水道から高濃度のPFASが検出された。市が採水したマンホールは、市が把握している限り、飛行場以外からの汚水は入り込まない。国の暫定指針値の13倍に上る汚染は米軍によるものだと考えられる。
今回、米軍は日米両政府が汚染水の対応を協議している最中に、一方的に放水したため、直前の値と比較ができない。宜野湾市は2019年と20年の9月に調査しており、その際は国の暫定目標値を下回っていた。その後に何らかの汚染要因があったと推定できるものの、放出直前の値が分からないため、今回の処理水が汚染要因か特定しづらい状況となっている。
米軍は自前の処理システムを誇示しPFOSやPFOAの値を2・7ナノグラム以下に低減できると主張していた。一方、宜野湾市は9日にも同じ地点で調査しており、汚染が続いているか確かめるとしている。米軍による放水から2週間たった日の調査となるため数値が低くなっていた場合、米軍の汚染水処理は不確実だったという蓋然(がいぜん)性は高まる。
県によると、PFASは通常の下水施設で取り除くことができず、海に流れるとみられる。環境中でほとんど分解されない性質から「永遠の化学物質」と呼ばれるPFASが沖縄の海に蓄積されることになる。
米軍は残りの汚染水も独自の処理後に放出する考えを示していたが、飛行場からつながる下水道からPFASが高濃度で検出された以上、放水を続けていいはずはない。
これまでも普天間飛行場周辺の湧き水で高濃度のPFASが検出され、県が立ち入り調査を求めてきた。米軍はこれまで県の立ち入り調査を拒否してきたが、過去の汚染を含め、早期の実態解明が必要だ。
(明真南斗)